1級かわらぶき技能士試験にチャレンジします。

私、寅さんは何を血迷ったのか、【1級かわらぶき技能士】という資格にチャレンジすることにしました。なぜチャレンジするに至ったのか。その経緯を書き留めたいと思います。

1級かわらぶき技能士とは

瓦屋根を施工する職人の為の国家資格です。
かわらぶき技能士には1級と2級があります。当然ながら1級は難関なのです。この資格は職人が確かな腕を持っているかを証明するものです。

私は4年前に2級かわらぶき技能士を取得しました。正直言って2級は簡単です。試験に合格する為の練習を積み重ねればなんとかなるレベルです。合格率も非常に高い。

1級はそんなわけにはいきません。一文字軒という瓦を架台に葺く実技試験があるのですが、この一文字軒は焼きモノなので不揃いな瓦を鏨(タガネ)という彫刻刀のようなもので、瓦を切りそろえる作業が必要になります。キレイに切りそろえて軒先を一直線に葺き上げます。まさに一文字。時間を掛けて丁寧に丁寧にすれば誰でもできるかもしれませんが、当然制限時間があり熟練した職人でも簡単には合格できない難関なのです。

かわらぶき技能士という資格は取得する必要がないという人が増えてきた

実は瓦業界にはかわらぶき技能士という国家資格を取得する必要がないと言う人が多数おられます。

それはなぜか。

①まずこの資格があってもなくても仕事はできるから。

弁護士や医者の資格とは違って、この資格を持ってなくても事業は起こせるから。この内容については昨日のブログで書いたので割愛します。

昨日のブログ→瓦に関わる3つの資格について。その意味合いと必要性について考えてみました。

②実技試験内容が時代に合っていないから。

このかわらぶき技能士の実技試験は瓦の加工に鏨(タガネ)を使用します。

でも、今の時代は現場で鏨(タガネ)をほとんど使用しないのが実状なのです。電動工具を使用します。ベビーサンダーってもの。作業効率が劇的に上がります。

実技試験ではこのベビーサンダーは使用不可なのです。瓦の切り合わせは現場ではほぼほぼ使用しない鏨(タガネ)のみ。

その他にも棟の施工でガイドライン工法(棟金具)を使用していないとか。時代錯誤な試験内容になっています。

 

瓦業界に入りたてだった私はこんな話を聞かされていると、「そうなんだ、取得しなくてもいいや」って気持ちになっていました。でも、そんな気持ちの中でも伝統工法の継承は少なからず必要だと思うしなぁって葛藤があったりモヤモヤ。そして、考えがガラッと変わった出来事があったのです。

技能グランプリ2016京都大会

2016年の3月に京都で行われた技能グランプリを見に行きました。全国から腕に自信を持つ葺師が集結し、匠の技術で模擬屋根を施工、その行程・出来栄えを競う大会なのです。

そこで受けた衝撃は計り知れなかった。

京都の瓦屋 甍技塾徳舛瓦店 徳舛秀治さん

全国の誰もが知るトップレベルの葺師なのですが、数年前に現場を離れ、経営・人材教育に従事されていました。その徳舛さんが現役職人に混ざってグランプリに出場すると聞いた時は驚きを隠せませんでした。現役を引退したにも関わらず、瓦業界最大の舞台に再度上がろうと決意した真意を知りたかった。

ファイル 2016-11-02 11 03 00
なぜ?スキーの写真?ハンパない(笑)

【選手からの一言】

京都の若いみなさん、楽しいのでぜひ出場して下さい

この一言に想いのすべてが詰まっている気がしました。

グランプリも徐々に出場者が減り、瓦店によって温度差が生まれつつあります。グランプリに出場したって仕事が増えるわけでもないし…的な風潮。それを変えたかったんだと思います。

瓦業界のレジェンドが一回限りの復帰。一度は置いた玄能(カナヅチ)と鏨(タガネ)を持って再度舞台に立ったわけです。想いを自ら体現した。最高齢の徳舛さんが1回りも2回りも歳が離れた若者と戦う姿に多くの人が感動したんじゃないでしょうか。

徳舛さんの戦う姿を見て思ったこと

グランプリもベビーサンダーの使用不可です。鏨(タガネ)の技術を競い合うといっても過言ではない。しかも課題の模擬屋根は実際の屋根では有り得ない形状だったりします。だからグランプリに参加しても意味がないって言う人が多い。

でも、グランプリに出たことが無い人がそんなこと言ってもしょうがないですよ。

グランプリで戦ったことがある人だけが、グランプリのことを語る資格がある。
まずは出てみよう!それからの話でしょ?ってことを伝えたかったんじゃないかと思いました。

1級かわらぶき技能士にチャレンジします

確かに今言われていることは瓦業界として再考する必要はあると思います。伝統工法継承なのか新工法伝播なのか。実技試験内容を継続なのか時代に合った形に変更なのか。

でも、

1級かわらぶき技能士を取得していないのに、1級かわらぶき技能士という資格が必要かどうかなんて語る資格はない。そう思います。

受けてもないのに意味がないとか言っても議論にならない。土俵が違う。まずは土俵に立つことが大事なんです。だから受けます。1級かわらぶき技能士にチャレンジします。

1かわらぶき

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渡邊智仁

渡邊智仁

代表取締役社長瓦寅工業㈱ 修繕の寅さん
私は昭和56年生まれの酉年で大阪生野の創業100年老舗瓦屋に生まれ育ちました。ずっと大阪にいる生粋の大阪人です。
関西大学卒業後は、瓦ではなくSIに興味を持ち㈱大塚商会のシステム販売営業マンとして7年間頑張りました。が、そろそろ親孝行をしようと思い始め、30歳を契機に瓦業界に飛び込みました。血筋のせいかすぐに瓦業界にも馴染み、営業と現場管理を経験し、今は経営に携わっています。
100年間、まじめにコツコツと建築に携わってきた【経験・知識・実績】で皆様方の大事な家を守っていきたいと思います。
≪保有資格≫1級かわらぶき技能士・瓦屋根工事技士・瓦屋根診断技士・遮熱施工管理士・一般建築物石綿含有建材調査者

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